今年1年間の邦画の公開本数が380本を超え、過去30年間で最高となることが確実になった。
複合型映画館(シネマコンプレックス:通称シネコン)の増加に加え、製作費を出資する企業のリスクを軽減する「製作委員会方式」の定着や、女性監督の台頭などによる製作現場の活性化が奏功しており、本数は今後も増える見通しだ。
日本映画製作者連盟によると、4日までに公開された邦画は360本(洋画は328本)で、12月末までには、人気テレビドラマの映画化「大奥」、木村拓哉さん主演の「武士の一分」などさらに20本以上が公開予定で、通年だと380本超えは確実だ。
同連盟が調査を始めた昭和30年に、邦画は423本(洋画193本)で、以降、邦画は35年の547本をピークに300〜400本台で推移、51年の356本を境に減少に転じた。
平成3年には230本にまで落ち込んだが、以降、徐々に増加傾向となり、昨年は前年より46本も多い356本となった。
業界関係者の多くは、映画会社が製作資金を一手に供給する旧来の形態ではなく、テレビ局や映画会社、大手企業などが匿名の組合をつくり、製作資金を分担して提供する「製作委員会方式」の定着を挙げる。
この手法で大ヒットした「踊る大捜査線」のシリーズ(平成10、15年)以降、出資者のリスクが軽減できることから、一気に定着し始めたという。
もうひとつは、今年の邦画のナンバーワンの呼び声も高い「ゆれる」の西川美和さんや「幸福のスイッチ」の安田真奈さん、「かもめ食堂」の荻上直子さん、「無花果の顔」で監督も務めた女優・桃井かおりさんといった女性監督の台頭が理由だ。
「ゆれる」「フラガール」など話題の邦画を手がけた映画配給・製作会社、シネカノンは「資金面では製作委員会方式の定着が大きな要因だが、製作現場では女性監督の活躍も理由のひとつ」とみる。
「年功序列を重んじる男社会の映画製作の現場が、他業種で進む女性の社会進出を受け、4、5年前から女性に門戸を開放。優秀な女性監督が登場し、業界に新風を吹き込んだ。製作現場の活性化にも一役買っており、製作意欲が高まっているのは確か」と分析する。
一方、同連盟の愛宕威志事務局次長は「シネコンの増加でスクリーン数がぐんと増えたことも大きい。売り場が増えれば店頭により多くの商品を並べることができるのと同じ理屈」と話す。
シネコンは第1号が平成5年4月に開業後、全国規模で急拡大し、昨年末現在、全国のスクリーン数の3分の2を占める1954スクリーンにまで増えた。
シネコン関係者も「人気作品を複数スクリーンで上映するなど、普通の映画館より利便性に富むのが特徴。そこに邦画ブームが加わり、邦画の公開数が増えている」と声をそろえる。
今年は邦画の興行収入(平成11年までは配給収入)が洋画を昭和60年以来21年ぶりに上回ることが確実視されている。
「最近は、午前中や深夜だけに限定公開する低予算の邦画も増えている。こうした作品は1000円前後とチケット価格も通常より安いが、それなりの集客力もあり、ビジネスとして成立し始めている」(愛宕事務局次長)状況もあり、邦画人気はまだまだ続きそうだ。
posted by ひで at 06:04| 奈良 ☁|
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